東京アカデミー合唱団の

第61回定期演奏会のコメント

私の職場の先輩で某大学OB・OG合唱団の団長です。

 

「昨日の演奏会は素晴らしかったです。特にジェンキンスの平和への道程は感動しました。私は初めて聞きましたが、あんなに長い曲を暗譜でしかも各パートの声が揃っていて貴合唱団はまた一段とレベルアップしたと感じました。特に緩急や強弱のつけ方もハッキリしていてピアニシモもよく聞き取れるしフォルテシモは迫力がありました。曲の心も十分表現できていたのではと思いました。また機会があれば演奏を聴きたいと思います。とりあえずは来年の12月26日のヘンデルのメサイアには行きますので、切符ができたら送ってください。」

 

長谷川潔

元アナウンサー・朗読家


メンデルスゾーンとカール・ジェンキンス。

古典と現代。

こんな曲の組み合わせが不思議で演奏会場に来た。

メンデルスゾーンの「詩篇」が終わり、「平和への道程」(この題はおかしい)に入ってしばらくして、この演奏会の全貌が見えた。

それぞれの土地で。それぞれの神に帰依した敬虔な人たちがいた。

20世紀後半から21世紀に入って、グローバルでこの人たちがまじりあい、

それぞれの正義を掲げて、武器を手にするという結末になってしまった。

これに対する混乱や不安と人々の平和への願いを表現する演奏会。

「詩篇」と「平和への道程」を並べて選曲したこの合唱団のセンスの良さに驚いた。会場でいただいたプログラムも字幕もこの方向に導くわかりやすいものであった。

指揮者の秋山さんがよく見える二階のステージ横のバルコニーで見ていて、音楽に縁のない自分でもスムーズに流れる指揮棒に引き込まれるようだった。

表現者として音楽の感想を言えば、合唱団もオーケストラも一人のチェロにすべてを持っていかれたような気がした。合唱も素晴らしいのだろうが、ナレーターとしての役割までで、内在するパッションが感じられなかった。特にチェロ独奏が終わったころから合唱団の体力が落ちたのか、急にテンションが下がっていくのがわかった。ご高齢な方も多いようなので、最上の表現をするために何か工夫をして、体力、気力を保つ必要があるのでは。


コソボ紛争の時にはロンドンに駐在し、空港に出兵する兵士たちを見ていた。突然のヨーロッパ域内での戦争に市民は驚いた様子だった。この感じが、演奏会全体で表現されていて、本当に感動した。


また、機会があったら聞かせていただきたいと思っています。



(終演後聞き取り 伊藤正文)